講演会

福永研究室では、不定式に外部講師を招聘して講演会を行なっていただいています。 お忙しい中講演をお引き受けいただいた皆様に感謝申し上げます。

第4回

日時: 2026/06/15 16:30-18:00

場所: 矢上キャンパス14号館413室

講演者: 中川 真理子 (東京大学特任研究員)

Title: Comparative Genomic Analysis of DNA Base Substitution Patterns Across Species

Abstract: Comparative analyses of DNA substitution patterns across diverse eukaryotes remain limited despite their importance for understanding genome evolution. In this seminar, I will present a large-scale comparative analysis of context-dependent substitution spectra across seven major eukaryotic lineages, including fungi, cnidarians, oomycetes, sponges, and arthropods. Using a standardized comparative genomics framework based on genome alignments of three closely related species, I analyzed lineage-specific single-base and double-base substitution patterns from 60 trio comparisons. Across lineages, I observed conserved mutational tendencies such as strong transition bias and widespread CpG hypermutability, while also identifying striking lineage-specific patterns, including characteristic substitutions enriched in particular fungal and metazoan groups. Multivariate analyses further revealed clear phylogenetic structure in substitution spectra. These results provide new insights into the evolution of mutational processes across eukaryotes.

第3回

日時: 2026/02/27 16:00-17:30

場所: 矢上キャンパス14号館413室

講演者: 吉澤晋 (東京大学准教授)

タイトル: 遺伝子解析で紐解く海洋微生物の光利用

概要: 地球上の生命は太陽から降り注ぐ光エネルギーを使うことで、生命活動を行なっている。一般的に太陽光を化学エネルギーに変換するシステムとして知られているのは『光合成』である。しかしながら、2000年に海洋細菌を対象としたメタゲノム解析から、光合成とは全く異なるシステムで光を受容する微生物型ロドプシンが見つかったことで、この常識は揺らぎつつある。その後の研究から、現在では海洋表層に生息する細菌の半数以上はロドプシン遺伝子を保有することが明らかとなっており、ロドプシンを介して海洋生態系に流れ込む光エネルギーの実態を解明することは、海洋生態系を理解する上で不可欠な課題となっている。本講演では、ロドプシン保有微生物の分布特性や分子レベルでの光受容様式を比較するとともに、分離培養株を用いた研究から明らかになりつつある、ロドプシンと細胞内色素の新たな関係性を紹介する。遺伝子解析と培養研究を融合することで見えてきた、海洋微生物の多様な光利用戦略を紐解きたい。

第2回

日時: 2025/11/28 15:00-16:30

場所: 矢上キャンパス14号館413室

講演者: 角俊輔 (東京大学特任助教)

タイトル: 機械学習を用いたRNAファミリー配列の設計と発見

概要: 新しい機能性RNAを発見したり欲しい機能性RNAを設計することは、RNA合成生物学の主なテーマである。この目的のため合成生物学者は従来まで主に手動設計や人工進化によってRNA配列を探索してきたが、基盤的な方法論の欠如により、実験コストが非常に高いものであった。そこで我々は、RNA情報学と実験的検証を統合したRNA設計・発見への新しいアプローチを提示する。本研究では、RNA配列アラインメント(すなわちRNAファミリー)に焦点を当て、RNA配列アライメントを活用した2つの機械学習ツール、RfamGenとRaptCoupleを開発した。RfamGenは多様な機能性RNAを設計するための深層生成モデルである。二次構造情報とアラインメントを統合することで、RNAファミリー配列のデータ効率的な設計を可能にする。生物学的実験を通じて、RfamGenの幅広い適用性と高い設計成功率を実証した。さらに、in vitro核酸選択解析のための解釈可能な機械学習モデルRaptCoupleを開発した。RaptCoupleがin vitro選択データの多くの下流解析をカバーすることを示した。これらのツールを通じて、RNA合成生物学のためのバイオインフォマティクスのさらなる発展の基盤構築に寄与したい。

第1回

日時: 2025/06/17 17:00-18:30

場所: 矢上キャンパス14号館513室

講演者: 細田至温 (早稲田大学招聘研究員)

タイトル: ベイズ統計モデリングによるバイオインフォマティクス研究事例の紹介

概要: 近年の大規模言語モデルの隆盛に反し、生命情報データにおいてはそのサンプルサイズの制限から、大規模なモデルを訓練させることが難しいケースも多い。これまで講演者は、バイオインフォマティクスの分野においてベイズ統計モデリングと呼ばれる技術を用いてデータから生物学的知見を抽出する研究を行ってきた。ベイズ統計モデリングは、変数間の関係性を柔軟に仮定できることに加えて、ドメイン知識などの事前情報をモデルに導入することができる。そのため、小サンプルサイズの問題に対して有向なアプローチである。当日は二つの研究を紹介する予定である。一つ目は微生物相互作用の推定を目的とした研究で、ベイズ統計モデルによりこれまで考えられていなかった相互作用の時間変化を考慮した。二つ目は代謝ネットワークにおける反応速度の変化の予測を目的とした研究で、ベイズ統計モデルにより理論と実験データを組み合わせた予測を可能にした。さらに、博士進学や民間企業での研究についても、自らの経験を踏まえながら紹介する予定である。